4. 理学療法士による鍼:ドライニードル ( Dry Needling )

目 次 

4-1 ドライニードル(Dry Needling)とは
4-2  ドライニードルと鍼治療の相違点
4-3  ドライニードルに関する理学療法士の教育・業務範囲
4-4  ドライニードルを理学療法士の業務範囲として認めている州
4-5  USA TODAY 「注目されている痛みの治療 ドライニードル」からの引用

 

4-1 ドライニードル(Dry Needling)とは
米国理学療法士協会 

ドライニードルとは、細い糸状の鍼を用いて皮膚に刺入し、下層の筋膜のトリガーポイント、筋肉、結合組織を刺激し、神経筋骨格系の疼痛と運動障害のマネジメントを行う、技術が必要な治療的介入である。ドライニードルは、骨格筋、筋膜、結合組織の機能障害の治療に用いられ、頑固な末梢の侵害受容入力を減少させ、身体の構造と機能の障害を回復させ、活動と参加を高める技術である。

APTA*: American Physical Therapy Association. Description of Dry Needling in Clinical Practice: An Educational Resource Paper. 2013: pp2 http://www.apta.org/StateIssues/DryNeedling/ClinicalPracticeResourcePaper/  (2016-12-02)より引用
(注)
APTA: American Physical Therapy Association ( 米国理学療法士協会 )  全米の理学療法士93,000人が会員

 

4-2  ドライニードルと鍼治療の相違点
米国理学療法士協会

はり師による鍼治療と理学療法士によるドライニードルの実践は、歴史的・哲学的な観点、徴候および臨床的な見方が異なる。理学療法士による現代的なドライニードルの実践は、西洋医学の神経解剖学や筋骨格系、神経系の現代科学の研究成果に基づいている。ドライニードルを行う理学療法士は伝統的な鍼理論や鍼治療の専門用語を使用しない。

The APTA Department of Practice and APTA State Government Affairs. Physical Therapists & the Performance of Dry Needling: An Educational Resource Paper. 2012: pp4   http://www.apta.org/StateIssues/DryNeedling/ResourcePaper/  (2016-12-02)  より引用

 

4-3  ドライニードルに関する理学療法士の教育・業務範囲
米国理学療法士協会

理学療法士は博士課程レベルの教育が行われている。2016年1月1日より専門職理学療法博士(DPT)は理学療法士養成の必須の教育課程となる。(略)(新課程では、)ドライニードルで使う基礎的な解剖学的、生理学的、およびバイオメカニクスの知識の多くが理学療法士教育のコアの一部として教育され、具体的なドライニードルの技術がその知識に補充される。現在は、ドライニードルは理学療法士養成課程の必須教育には含まれていない。(略)

理学療法士がドライニードルを実践するための追加の教育訓練を受け、その能力を有するのであれば、ドライニードルは理学療法士の業務範囲に含まれると、理学療法士のライセンス業務を管理する多くの州政府の委員会は明言した。

The APTA Department of Practice and APTA State Government Affairs. Physical Therapists & the Performance of Dry Needling: An Educational Resource Paper. 2012: pp3, http://www.apta.org/StateIssues/DryNeedling/ResourcePaper/ (2016-12-02) より引用

 

4-4  ドライニードルを理学療法士の業務範囲として認めている州

数字はドライニードルについて州の判断を行った年を示す

map or dry needling in the US

Myopain Seminars. New Developments and Rulings about Dry Needling by U.S. State Boards  http://myopainseminars.com/resourcesnews-rulings/(2016-08-28) のデータより作成

 

 4-5  USA TODAY「注目されている痛みの治療 ドライニードル」から

( 医療保険が扱えるのですか?)
多くの保険は取扱っていません。(注:アメリカは民間保険のため、保険料により保険が対象とする範囲が異なる)患者が支払う費用は各セッション10ドルから75ドルと Edo Zylstra氏 (週末に理学療法士を対象に3日間の集中講習会を提供している会社であるKinetaCore,の最高経営責任者)は答えた。

( 全ての理学療法士がドライードルを行っているのですか?)
7つの州の理学理療法士会は会員にドライニードルを慎むように指導しています。最近の裁判や州ごとの理学療法士の法規の文言や規制が異なっているためです。規制されている州は、カリフォルニア、フロリダ、ハワイ、アイダホ、ニューヨーク、サウスダコダ、ワシントンです。米国には約20万人の理学療法士の資格者がいるのですが、ドライニードルの教育は受けていません。約6000人位が過去数年間でドライニードルの講習会を受講しましたとZylstra氏は答えた。

Kim Painter.’Dry needling’ for pain therapy is under scrutiny.USA TODAY (2016-07-17)http://www.usatoday.com/story/life/2016/07/17/dry-needling-acupuncture-pain/86940278/ (2016-12-02)

 

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