5-3 鍼の受療

目次

5-3-1 補完代替医療としての鍼の受診率

5-3-2 癌患者の鍼受療の調査

 

5-3-1 補完代替医療としての鍼の受診率

    • スウェーデンにおける 補完代替医療 (complementary or alternative medicine :CAM )の使用を調査するため、2016年1月22日から2月4日まで調査会社の約12万人で構成されているウエブパネルから無作為抽出したスカニア(Scania)地域の住民を対象に調査が行われた。ウエブパネルは性別、年齢に関しては、インターネットに定期的にアクセスできるスゥエーデンの人口を代表している。回答者は1534人の成人(18-79才)で、回答率は31%。
    • 過去12か月間に、回答者の71%(1,089人)がCAMを使用し、回答者の33%(505人)がCAM提供者を訪れた。CAM提供者によるCAMの中で、最も多いのはマッサージで52.5%(265人)で、鍼は5.5%(28人)であった。回答者の8%は医療施設の中、または医療施設の紹介によりCAMを受けていた。これらの医療施設を介して行われたCAMの種類は、鍼が22%、マッサージ21%、マインドフルネス15%であった1)

文献
1)Wemrell M, Merlo J, Mulinari S, Hornborg A.C. Two-Thirds of Survey Respondents in Southern Sweden Used Complementary or Alternative Medicine in 2015. Complement Med Res. 2017;24:302-309. https://doi.org/10.1159/000464442 (2023-05-31)

 

5-3-2 癌患者の鍼受療の調査

  • 癌患者の鍼の効果についての関心や信頼性を調査する目的で、2016~2017年にスウェーデンの南部、中部、東部、西部に存在する 4 つの腫瘍部門から患者のデータを収集した。その中から放射線療法を予定している688人の患者がスクリーニングされ、研究基準を満たした507人が研究に参加し、個別に研究用のアンケートに回答を求められた。
  • 457名が回答し、回答率は90%であった。患者は主に、乳癌(37%)または前立腺癌(32%)の治療を受けていた。
  • がん治療の間に、鍼治療を使用した患者は4名(1%)で、2名は疼痛緩和、2名が悪心の緩和に使用していた。368名(83%)が癌治療中の副作用に対する鍼治療に関心を示した。
  • 289 人 (63%) は、質問された症状の少なくとも 1 つに鍼治療は効果があると信じていた。その56% は、痛みに対して、40%は筋肉の緊張に鍼は効果があると信じていた。
  • 多変量解析により、鍼治療の効果について、女性は男性よりも高く信頼し、41歳から65歳までの人は65歳以上よりも高く信頼していることが確認された。
  • 癌患者は、鍼の効果に高い信頼性と関心を持つことが示されたことから、鍼が有効と示されている副作用の鍼治療を、癌患者が利用できるようにすべきと結論で述べている。

文献
1)Ylva Widgren, Per Fransson, Anna Efverman. Acupuncture in Patients Undergoing Cancer Therapy: Their Interest and Belief in Acupuncture is High, But Few are Using It. Integrative Cancer Therapies. 2022; 21
https://doi.org/10.1177/15347354221077277 (2022-06-04)

 

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